音頭・民謡・俗謡

直実・蓮生が歌われた音頭・文様・俗謡などを紹介します。

1.新熊谷音頭(昭和26年7月10日 作詞:藤浦 洸 作曲:古関 裕)

一.  昔なつかし直実さまが
    サット開いた扇のかげに
    意気と人情の花模様そめて
    武蔵熊谷 ササヨイヤサの ヨイヤサで おらが町
    (二~五略)
六.  白い卯の花こぼれて咲いて
    鳩がとび立つあの白い鳩
    君と遭ふせのゆびきりすれば
    鐘もひながの ササヨイヤのヨイヤサで 熊谷寺
(七・八略)

新熊谷音頭レコード

2.新熊谷小唄(作詞:田島一宿 作曲:北村和夫)

一.  おらが先祖の直実様は もゆる情けを鎧の下に
    須磨の浦曲のあの花吹雪 男なりやこそ
    トコトトトンの トトトンで 武士の意地
二.  あれさ墨染め蓮生様が 東くだりのほれさかさ馬
    鎧かぶとをさっこらさと捨てて 武士じゃござらぬ
    トコトトトンのトトトンで いちしやもん
(三~五略)

3.直実ぶし(作詞:栗原ひろし 作曲:明本京静)

*YOUTUBEリンク https://www.youtube.com/watch?v=BpD-TBnTpkQ


一.  秩父の峰の雪白く 名も荒川の風寒し
    ここ武蔵野の大里は 関東一の旗頭
    直実公のふるさとぞ
    一の谷の軍破れ
    討たれし平家の公達あわれ
    暁寒き須磨の嵐に
    聞えしはこれか青葉の笛
二.  源平須磨の戦いに 花も恥ぢらう薄化粧
    智勇兼備の将なれば
    敦盛の首打ちかねて 無常の嵐胸をかむ
三.  人生うたた五十年 夢まぼろしに似たるかな
    今は栄位も何かせん あまねく人を救わんと
    その名も熊谷蓮生坊
四.  流れて早き年月に 武蔵野山河変えるとも
    阪東武者の精神は われらが胸に今もなお
    生きてぞ通う直実ぶし

直実ぶしレコード

4.熊谷おどり(作詞:西条八十 作曲:中山晋平)

一.  おらが熊谷 朝日に匂うアリサヤ
     大和心のヤレソレサイサイ
     大和心の花の里
     ハレヤレソレヨイトヨイトナー
     ハレヤレソレヨイトヨイトナー
二.  団扇祭りの 団扇で招くアリヤサ
     今年日本のヤレソレサイサイ
     今年日本の景気風
三.  武士の鑑みは 直実様よアリサヤ
     大刀も情けもヤレソレサイサイ
     大刀も情けも一の谷
(三~七略)

5.熊谷数え唄

一つとや人に知られた熊谷の熊谷の
 さくら堤の花ふぶき花ふぶき
二つとや二人そろふて蓮生の蓮生の
 み墓もうでや熊谷寺熊谷寺
三つとや水の流れは白絹の白絹の
 きよき荒川大橋よ大橋よ
四つとや夜明の鐘のなる頃になる頃に
 はだし参りは圓照寺圓照寺
五つとやいつもきれいな星川の星川の
 もとは池亭の池の水池の水
六つとや無理とは知れどこの願ひ
 奴稲荷に祈りませう祈りませう
七つとや仲むつまじう暮すやう暮すやう
 高城神社に初詣初詣
八つとや山は秩父か筑波山筑波山
 浅間の明けの雲のいろ雲のいろ
九つとやここは熊谷町役場町役場
 千形神社はこの東この東
十とやとくとく忘るな報恩寺報恩寺
 町の鎮守は愛宕さま愛宕さま 参考:『櫻の熊谷』大正14年 藤浪 潔 熊櫻社

6.佐渡「相川音頭」

ここにあはれは 無官の大夫
としは二八の 初陣なるが
駒のたづなも まだ若桜
花に露持つ みめかたちをば
美人草とも 稚児桜とも
たぐひ稀なる おん装ひや
すはや出船か 乗り遅れじと
たづな掻繰り みぎはに寄れば
船ははるかに こぎいだしつつ
ぜひもなぎさに ためらふところ
馬を飛ばして 源氏の勇士
扇ひらいて さし招きつつ
われは熊谷 直実なるぞ
かへせもどせと 呼ばはりければ
さすがかたきに 声かけられて
駒のたづなを またひっかへし
なみの打物 するりと抜いて
三打四打は 打ち合ひけるが
馬の上にて むんずと組んで
もとのなぎさに 組み落ちけるを
取って押さへて 熊谷次郎
見ればつぼみの まだ若桜
花の御髪を かきあげしより
猛き武勇の 心もくだけ
ついに髻 ふつつと切りて
思いとまらぬ 身は鳥羽玉の
教を貫く 数珠つまぐりて
同じ蓮の 蓮生法師
菩提信心 新黒谷へ
ともに仏道 なりにける 参考:『相川音頭集成』昭和30年 佐渡郷土研究会 山本修之助編

7.熊谷さのさ節

  • 武士の情けは熊谷直実よ 無官の大夫を打取りて、窃に我子をネ思い遣り、落とす涙は須磨の水
  • 浄土にも剛の者とや沙汰すらん、西に後を見せずして、東路下るネ逆馬、さすが蓮生大法師
  • 名にゐふ私の黨一の旗頭、昔に變る今のさま、破れ衣にネ破れ笠、是ぞ関東阿弥陀佛
  • 我も亦阿弥陀笠着て咲く花に、うしろは見せぬ熊谷の、さくら詠んだるネ三陀羅の、其碑はのこる石上寺
  • 昔しや直実ネ今は熊谷櫻土手、花の盛の人の中、互に姿をネ打眺め、顔に散らすもさくら色 参考:林有章『名勝熊谷櫻』昭和3年 熊谷町史蹟名勝保存會・『熊谷郷土會誌』第4号「詞藻」昭和14年 熊谷郷土會

8.熊谷らっぱ節

  • 波を蹴り行く若武者を、扇かざして麾く、我は熊谷直実ぞ、返せ戻させ給ひかし
  • 須磨の浦曲の夕嵐、花と散りにし敦盛の、菩提弔ふ直実が、心の中こそ哀れなれ 参考:林有章『名勝熊谷櫻』昭和3年 熊谷町史蹟名勝保存會・『熊谷郷土會誌』第4号「詞藻」昭和14年 熊谷郷土會

9.熊谷エンカイナ

  • 頭丸めて墨染の、衣を着たる直実は、源平両家の亡き人の、菩提弔ふエンカイナ
  • 粋な朧の月の夜を、たどる堤の陰、嬉しくかはす言の葉も、櫻がとりもつエンカイナ 参考:林有章『名勝熊谷櫻』昭和3年 熊谷町史蹟名勝保存會・『熊谷郷土會誌』第4号「詞藻」昭和14年 熊谷郷土會

10.熊谷大津繪ぶし

  • ヲヲイヲヲイと直実は扇をあげて麾く、敦盛はさっそくがってんし、いざいざ勝負いたさんと、駒の手綱を引返す
    サテサテけなげな若武者と追いつ追われつ切り結び、互に打物投げ捨てて組打し、両馬が間にどふと落ち花を散り行く敦盛の哀れとどむる夕あらし 参考:林有章『名勝熊谷櫻』昭和3年 熊谷町史蹟名勝保存會・『熊谷郷土會誌』第4号「詞藻」昭和14年 熊谷郷土會

11.熊谷八景(作歌:平山蘆江 作曲:杵屋佐近)

熊谷その日のいでたちは 褐錦の直垂に
黒糸絨のよろひ着て 権太栗毛の鞍つぼに
のび上りのび上り我こそ丹治直実よと 名乗し聲の今も尚
關の東に轟けり 浄土にも剛のものとや沙汰すらん
西に向ひてうしろ見せねば その西方の弥陀佛を移して
ここに熊谷寺何思ふべき煩悩の 鐘にほんのり夕やけが
ぽつと染めたは筑波山 とけたは帯か荒川の
名は荒くとも川原の石の こひしこひしに身をこがす
蛍にあらじ星川の 汲めどもつきぬ深情
しんぞうれしき夜の雨 石の上にも三年ごしの
我慢しとげた月の色 高城の社の椎の木さへも
まてばとあるのが頼もしや 堤は春の花吹雪
久下はかりがね秋の色 冬さりくれば星溪に
雪の下ゆく石清水 その水上の上之より
ままに成田の里かけて 弥生しげる竹の一ふし 参考:酒井天外『熊谷蓮生物語』昭和11年